医療・福祉人事担当者の本音

~直接応募のススメ~

率先して利用すべき人材紹介会社

これまでの記事で、人材紹介会社は

 

・応募できる求人数は実際にある求人数より少ない

・採用ハードルが最も高くなる

(求人側が高い手数料を支払っている)

・人材紹介経由による転職は離職率が高い傾向にある など

 

多くのデメリットがあることを伝えてきました。

 

今回は「私が思う」率先して利用してもいい人材紹介会社を、その理由も合わせて書いていきます。

 

実は、人材紹介会社を大きく分類すると

有料職業紹介事業者

無料職業紹介事業者

の2つがあります。

 

結論から言うと、

無料職業紹介事業者は率先して利用してもいいと思います。

 

求職者の目線でいくと、どちらを利用してもお金がかかることはありません。

じゃあ「有料」「無料」で何がどう違うのか。

無料職業紹介事業者は、

求人側からもお金を取らない

ということです。

 

求人側からもお金を取らないって

事業として成り立たないのでは?!

って思いますよね。

 

そうなんです!

無料職業紹介事業者は事業として成り立ちません!

 

いや、ちゃんと言いましょう。

そもそも人材紹介で事業を成り立たせるつもりがないんです!

 

???

 

どこだと思いますか?

 

答えは、

看護協会

薬剤師会

社会福祉協議会 などの

協会や組合です。

これらの法人は営利企業ではないため、無料で人材紹介をしています。

 

どういった法人が無料職業紹介をしているのか、

厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で簡単に検索できるので

調べてみてください。

みなさんに関わりのある協会や組合があるかもしれません。

 

さて、その無料職業紹介事業者ですが、

もちろん、メリット・デメリットがあります。

 

<メリット>

・費用がかからないので求人側は率先して採用を考える

・営業がしつこくない(そもそも営業ではない)

・公平、公正な意見で転職を支援してもらえる

 

<デメリット>

・おそらく色々な理由でやる気はないw

 

率先して利用してもいいとは言いましたが、

無料で人材紹介をしていて、営業成績も関係ないので

私は

「あまり力を入れていないんだろうな」

と感じています。

 

看護協会であれば「eナースセンター」

社会福祉協議会であれば「福祉のお仕事」

といった求人サイトがあるのですが、

求職者の認知度を高める取り組みはしていないように思います。

 

また、サイトの作りは正直見づらく、

ハローワークのように少し固いイメージです。

直接協会に行けば親切に対応をしてもらえるようですが、

「よし!協会に行こう!」

という人は少ないのではないでしょうか。

 

そういったこともあって、

求人情報を載せていない法人が少なからず見受けられます。

 

やる気がないと言ってしまいましたが、

私がこの記事で本当に言いたかったことは

 

協会や組合などの無料職業紹介事業者の方々!

やる気を出してくれ!!

 

もっと認知度を高める取り組みができるでしょうし、

求人サイトも、もっと分かりやすく、

写真もたくさん掲載できて検索しやすい作りにできるでしょう。

 

そんなことするより、

来た求職者に丁寧にゆっくり対応したいと思うかもしれません。

他の業務も兼務しているでしょうから

仕事が大変になるかもしれません。

(今の紹介数考えたら何もしてないでしょ!)

けど、協会や組合が力を入れることで、

求人側は経営的にもすごく助かりますし、

求職者も協会や組合が間に入るのであれば

安心、信頼して転職活動ができます。

 

だからこの記事では「率先して利用すべき」と書きました。

そして、転職を考えている看護師や医療従事者、介護職の方々が率先して利用することで何か変わらないかなと期待をしています。

 

個人的には

全ての法人をまとめて運営金を集め、

「医療福祉業界の転職といえばこのサイト」

というものを作り、

求職者には正確、公平

求人側からは費用を取らない

そんなサイトができたらいいのに!

なんて思ったりもします。

 

それを現実的に一番近い形でできるとすれば協会や組合です。

協会や組合の人材紹介が頼りになれば、

営利企業が入ってくる隙をなくすことができますし

人材紹介会社に払う費用も減ります。

協会や組合にとっても

年会費や協賛金、寄付金を払う法人が増えるかもしれませんよ?

採用ハードルが上がるとは?

私のブログの中で

人材紹介経由だと採用ハードルが上がる

とお伝えしてきました。

 

採用ハードルが上がるとは具体的にどういうことかというと、

 

結局は費用をかけてまで採用したいかどうかということです。

 

例えば

同じタイミングで似た経歴の2人から

ホームページと人材紹介経由で

それぞれ応募があったとします。

これまでの記事を読んだ方ならお分かりと思いますが、100%ホームページから応募いただいた方を採用します。

さらに、私の法人では面接をしたうえで

少し「気になるところがある」ホームページ経由の人と

「特に気になるところがない」人材紹介経由の人だった場合

ホームページ経由の人を採用します。

 

なぜなら

面接などで求職者のすべてを見抜くことはできないからです。

すごく良いなと思ってた人がそれほどでなかったり、合うか不安だな~と思ってた人がすごく活躍したり…

 

だから、多少気になることがあってもホームページ経由の人をまず採用します。

逆に人材紹介経由の人は少しでも気になるところがあれば採用しません。

 

ちなみに、「気になる」というのは以下のようなことに納得できる理由がないときです。

短い期間で転職を繰り返している

過去の勤務先に脈絡がない

職歴の間に不自然な間がある

学校を留年している

面接時でいえば

待っているときの様子

受付などでの対応、言葉遣い など

 

新卒で勤務した病院は長い間働いているけど

転職後は短期間で転職を繰り返している人は

最初の病院のやり方に固執して他の病院に合わせられない人かもしれない

と私は考えますが、面接時に理由を聞いて判断します。

そういった人が人材紹介経由で

応募可能か確認の連絡があった場合、

求職者が面接を希望していたとしても理由の如何に関係なく

面接自体をお断りすることもあります。

(人材紹介経由でなければ面接します)

 

入職時期についてもやはりシビアになります。

 

人材紹介会社から

「半年先(場合によっては1年先)に転職を考えている人はどうですか?」と

よく質問を受けます。

前にも少し書きましたが、

突発的に辞めて転職しようと考える人よりも

そういった予定を立てて転職を考える人の方が採用したい

と思います。

 

じゃあ、紹介手数料払ってまでそういった人を採用したいかというと

No! です。

 

よくあるのが、新卒後3~5年で奨学金も終了して転職を考える人です。

早くて前年の4月、あるいは10月頃から情報収集を始める人が多いのですが、

そういったタイミングで面接をして内定を出すかというと、

人材紹介経由の場合はありえません。

 

なぜなら

高い紹介手数料を払うくらいならまず新卒の採用枠を増やすからです。

それでも採用人数に満たない場合、

その1年程度をかけてホームページやハローワークからの応募を待ちます。

紹介手数料を払ってまで採用するのは最後の最後です

これはまだ多少余裕のある私の法人だからで、

年中人が足りず募集を行っている法人では

人材紹介経由で1年先であっても内定を出すことも考えられるかもしれません。

ただ、少なくとも私の周りでは聞いたことがないですし、

仮にそういった法人があったとして、

求職者にとって魅力的な職場と言えるでしょうか?

 

一般職に限ってですが、

そもそも半年以上先の内定を出しづらい理由もお話しておきます。

 

転職が半年以上先の場合、病院や施設の状況が変わりえること、そして内定を出したとして求職者が心変わりすることを心配します。(新卒は別です)

入職前に「状況が変わったのでやっぱり入職できません。」

とか言われると何も手が打てません。

 

面接後間もなく入職予定だった人が

「親の病状が悪化して介護しないと」とか

「持病が悪化して」といった理由で

入職できなくなったと言われたことも1度や2度ならず。

 

正直別の理由だろうなと思いますし、

本当であれば面接時にそういった状況だから

休むこともあるかもしれませんくらい言ってほしいものです。

法人側が内定取り消したら問題になるのに、

求職者が内定「受諾」後にどのタイミングで辞退しても

咎めなしはなんとかしてほしいとちょっと思ったりします。

(ごめんなさい、愚痴です。)

 

そういったわけで

期間が空けばあくほど良くも悪くもいろいろな情報が入ってくるでしょうし

「やっぱりまったく別の事業所で働きたい」

なんてこともあるかもしれません。

求職者の方は早く転職先を決めることにリスクがありませんが、

法人側には事情が変わって内定を取り消すといったこともできないため

リスクがあるわけです。

 

人材紹介会社にしても

1年前から情報収集のために登録されても正直困る(と実際に営業担当者から聞いたことがある)でしょうし、1年も先であれば求人条件も変わる可能性があります。

 

なので、3月末退職→4月に転職したい方は、

10月頃から本格的な情報収集をして、

早く内定もらいたいのであればホームページなどから問い合わせ

そうでなければ1月に入ってから面接などに動き出す

ことで、効率的に就職活動できるのではないかと思います。

就職活動はどうすればいい?

複数回にわたって、医療・福祉業界の人事担当者として切実な思いを綴ってきました。

「じゃあどうやって就職活動すればいいの?」と

気になったと思います。

そこで、

どういった応募ルートがあって

どのように情報収集すればいいのか

私なりにアドバイスしていきます。

 

まず、求人へ応募するためのルートを思いつく限り挙げてみます。

①病院や施設へ直接電話

②病院や施設のホームページ

ハローワーク

④新聞や雑誌などの求人広告

⑤求人検索エンジンindeed、求人ボックス、スタンバイなど)

 ※病院や施設が掲載している求人

 ※人材紹介会社が掲載している求人

⑥人材紹介ではない求人サイト

⑦人材紹介会社が運営する求人サイト

 

先に言うと以降は⑦に近づくにつれて採用のハードルが上がり、応募できる求人数が減る傾向になります。

「①病院や施設へ直接電話する」は気おくれする方も多いと思うので、具体的な説明は省略しますが、人事担当者としては直接お電話いただいた場合喜んで対応します。

 

それでは、順に書いていきます。

 

「面接を受けたい」「興味がある病院や施設がある」のであれば

ホームページ、ハローワークがベストです。

この2つのルートで応募を断られることはまずないですし、

採用のハードルが最も低いといっても過言ではありません。

今はハローワークに行って手続きをしなくても

ハローワークインターネットサービス」で検索することで、

ハローワークに掲載されている求人も家にいながら見ることができますし、

法人名で検索もできるので使い勝手も良いです。

 

ただし!興味はあるけど雰囲気を知りたいという方は

ハローワークでは物足りないかもしれません。

ハローワークの求人票は求人条件を知るという意味では良いのですが、

写真がなかったり、情報量も十分ではありません。

④新聞や雑誌などの求人広告」についても同じことがいえます。

新聞や雑誌は病院や施設が掲載しているので情報としては正確ですが、記事の入稿から掲載までそこそこのタイムラグがあります。

そのため、掲載枠も限られている中で情報量が少ないだけでなく、掲載されたときにはすでに募集を終了している可能性があるという欠点があります。

 

そこで次の方法です。

興味がある病院や施設があればまだ良いですが、

右も左もわからない方が大半でしょう。

「これから就職活動をしよう」「転職したい」と考えたら

まずインターネットで検索すると思います。

例えば、「看護師 ○○市」と検索するだけで大量の求人情報が出てきます。

googleで検索すると

こんな情報が検索画面の上位に表示されます。

これはGoogleしごと検索Google for jobs)というサービスで

詳細は割愛しますが、ホームページの求人や人材紹介会社のサイトで掲載している求人情報が自動で表示されます。

どこの情報が掲載されているかは提供元という欄で確認できます。

相場観や雰囲気を知るという意味ではここから求人をざっと見るのもいいかもしれません。

ただし注意していただきたいのは、ここに掲載されている求人のリンク先はその多くが人材紹介会社の求人サイトです。リンク先で登録をするとものすごい連絡がきます。

情報収集程度であれば登録はしないようにしましょう

 

Googleしごと検索と似たようなサービスで、

よくCMで見かける

indeed」「求人ボックス」「スタンバイ

といった求人検索エンジンがあります。

これらの求人検索エンジンもホームページやハローワーク、求人サイトから情報を自動でひろって求人情報が掲載されています。

Googleしごと検索と異なる点は、

求人検索エンジンには求人している法人がアカウントを作って求人原稿を作成し、掲載しているものがあります。

この求人の場合、応募したら求人している病院や施設と連絡を取り合うことになります。

求人している法人が直接掲載しているものは、無料掲載や、クリック課金型の有料掲載など種類がありますが、いずれにせよホームページやハローワークと同等の情報の正確性、採用ハードルとなるでしょう。

情報量については求人原稿を作り込んでいる法人であれば十分にあると思います。

 

ただし、Googleしごと検索やindeedなどの求人検索エンジンで共通して言えるのは、基本的に求人情報のプラットフォームのような役割なので、病院や施設が掲載していることもあれば人材紹介会社が運営している他の求人サイトへ誘導されることもあるので注意が必要です。

 

ここで人材紹介ではない求人サイトについて、少し説明します。

有名どころでいうと「ジョ○メ○レー」「コメディ○ル○ット○ム」といったサイトですが、

これらの求人サイトに掲載されている求人情報は病院や施設が掲載しています。

人材紹介会社が運営する求人サイトとの大きな違いは、

人材紹介会社の営業担当者が間に入るか、求人している法人の人事担当者と連絡を取るかの違いです。

○ョブ○ドレーなどの求人サイトは登録しても営業から頻繁に連絡が来ることはありません。(病院や施設からスカウトメールがたくさん来ることはあるかもしれませんが…面倒なら停止できます。)

このサイトで気になる求人に応募すると病院や施設の人事担当者と直接、メッセージや電話などでやり取りすることになります。

人材紹介ではない求人サイトのメリットは、

病院や施設が掲載しているので情報が正確であること

写真やアピールポイントなどの情報量が多いこと

比較的タイムリーな情報であること

です。

ちなみに求人側のメリットもあります。

人材紹介会社の人材紹介手数料と比べると採用が決まった時にかかる費用が圧倒的に安くすみます。

私の法人でも、ホームページ、ハローワークの次にこれらのサイトに求人情報を掲載することを検討します。

逆にデメリットとしては、

私たち求人側がこれらのサイトを知らなければ、または

安いとはいえ費用がかかることを納得できなければ、求人情報が掲載されません。

つまり、求人数としては人材紹介会社の運営する求人サイトよりも少なくなります

(人材紹介会社は求人していないものを掲載し続けていたり、取引がなくても掲載していることがあるので当たり前ですが…)

 

最後に⑦人材紹介会社が運営する求人サイトですが、

具体的には、「ナース○○バンク」「○○ウェル看護」「○○ワーカー」

あとは有名どころでリク○○○や○○ナビさんも人材紹介を行っていますね。

これらがいわゆる人材紹介会社ですが、

いろいろご自身で調べた結果、それでも「どうしよう」「不安」といったときに

利用するといいかもしれません。

ただし、何度も書いてきたように

応募できる求人数は実際にある求人数より少ない

採用ハードルが最も高い

人材紹介会社はボランティアではなく営利企業

人材紹介経由による転職は離職率が高い傾向にある

求人側が高い手数料を支払っている

ということは覚えていてください。

人材紹介会社を利用するのであれば、

ご自身が本当の意味で納得できて

「そう簡単には辞めない!」

という気概で入職して欲しいです。

 

まとめると、

面接を受けたい、興味がある病院や施設がある方

①②③のいずれか

 

転職を考え始めたけど時期含め何も決めていない方

②③④⑤⑥⑦を駆使してサイトなどへの登録はせずに相場観や雰囲気を知る

 

転職時期がある程度決まって求人情報を調べることができた方

①②③④⑤⑥の順でどこから応募するか決める

 

いろいろと調べてみたけど不安が尽きない方

⑦でなんとなく納得感を出す(笑)

 

最初にも言いましたが、に近づくにつれて採用のハードルが上がり、応募できる求人数が減る傾向にあることは忘れずに。

 

最後に一つだけアドバイスします。

面接を受けたい、興味がある病院や施設がある方で人材紹介会社を利用している場合。

人材紹介会社から「条件面が合わず面接を断られた」「応募多数により受付終了だった」など何かしらの理由をつけて応募ができなかったときは、一度ホームページやハローワークから応募してみてください。ホームページやハローワークに掲載されているのであれば応募受付してもらえる可能性は割と高いと思います。

そもそも人材紹介会社経由の応募だから断られていることもあれば、人材紹介会社が紹介できない、または何かしらの理由で他の求人を紹介したいとき、明らかに偽って希望の求人に応募できないと言っていることがあります

ここまではっきり言い切れるのは、求職者と雑談をしている中で

過去に求人に応募しようとして

「そこはすごく人気でなかなか応募受付すらしてもらえないからこっちはどうですか?」

と言われたけど、ハローワークから応募したら普通に応募できて採用されたという話を聞いたり、それに近い話は何度も聞いたことがあるからです。

上場している有名な人材紹介会社でもそういったことがあったという話を聞くので、本当に面接を受けたい病院や施設があるなら試してみてください。

人材紹介会社のメリット?②

実例②

ハローワーク非公開も多数!

新着・会員限定のレア求人をご紹介!

ベテランコンサルタントが「内部情報」などリアルな職場環境を熟知しています!

看護師が選ぶ人材紹介会社No.1!

10年以上の信頼と実績があります!

 

ハローワーク非公開も多数>

大前提でお話をすると、ハローワークや自法人のホームページなどに求人を掲載せずに人材紹介会社だけに求人掲載することは99.9%ありえません。

0.1%可能性があるのは、役職者待遇の人を大々的に募集したくないときや、周りに知られたくない並々ならぬ事情がある法人もあるかもしれないと考えたからです。

もし本当にハローワークにもホームページにも掲載しないで

すべて人材紹介会社に頼っている法人があるのなら

その人事担当者に理由を聞いてみたいくらいです。

(そんな法人があるなんて聞いたことありませんが…)

これは人材紹介会社による求職者を集客するための、誇大広告でしょう。

 

<新着・会員限定のレア求人をご紹介!>

レア求人が具体的にどういうものかわかりませんが、

例えば「離職率が低くめったに求人を行わない法人があって、久しぶりに求人を行う」場合。

私の法人でもそういった職種の求人を行うときがありますが、状況としては困っているわけではないので、人材紹介会社から紹介されたとしても採用のハードルを上げます

というよりは、基本的に紹介を断ります。

 

<看護師が選ぶ人材紹介会社No.1!>

<10年以上の信頼と実績があります!>

どこの人材紹介会社でも

実績No.1

満足度No.1

友人に紹介したいNo.1

といった表記があります。

求職者のみなさんは深く考えず、この人材紹介会社は

「そう自己評価してる会社なんだな」

くらいに考えた方がよいと思います。

 

人材紹介会社でも全国展開している会社と地元の会社があります。

全国展開している会社では10年以上の信頼と実績といっても

みなさんの県では紹介実績0かもしれません。

信頼と実績を重視するなら地元の人材紹介会社を利用しましょう

 

前回から引き続き細かいことをたくさん書いてきましたが、

結局何を伝えたいかというと

人材紹介会社に頼らない方が応募できる法人が増えるし、

採用される確率も上がります!

そして、間に営業を介さず自ら得た情報の方が正確です!

ということです。

 

人事担当者からすると、「年間数千万円も支払っている紹介手数料がなくなれば、その全部ではないにしても職員の処遇改善に当てられるのにな」といつも考えます。

医療福祉業界でこの無駄な費用が減れば、各法人は少なからず浮いた費用を処遇改善へと向けるでしょう。

そうすれば、まだまだ水準としては他業界より低い介護職をはじめとして、様々な医療・福祉従事者のみなさんがより働きやすく、そして、新たにこの業界を目指したいと考える人も増えるのではないでしょうか。

たかが紹介手数料、されど紹介手数料。

私のブログを読んでいただいたみなさんには、法人側がどれだけ重い負担を背負っているか理解いただけていると思います。

 

さて、ここから話題を変えます。

これまで人事担当者が法人側の目線で書いてきました。

「じゃあどうやって就職活動すればいいのか」

「どこに気を付ければいいのか」

と気になっているのではないでしょうか。

次回は、具体的に

情報収集の方法

どういったサイトがいいか

といったところを書いていきます。

人材紹介会社のメリット?①

前回、私が思う人材紹介会社を利用するメリット・デメリットを書きました。

実は人材紹介会社が売り文句としているメリットは他にもあります。

そのメリットに対して、

本当にメリットなのか

ということを実例をあげながら紹介していきます。

 

実例①

〇〇顧客満足度1位!

利用のしやすさ・担当者の対応・紹介案件・紹介案件の質交渉力などで総合的に評価

日本最大級の転職サービス!

業界最多級の求人数!

地域担当制で希望エリアに詳しい!

業界知識が豊富!

 

<紹介案件の質>

人材紹介会社の営業担当者のみなさん…

「本当に質の良い求人しか求職者に紹介していませんか?」

もちろん求職者個人によって、考えていること、重視していることは違います。

求職者によってどの法人が合うかどうかはわかりません。

だから直近の離職率が非常に高いとわかっている法人でも、とりあえず紹介する求人の中に含めるでしょう。

まぁ、それもわかります。

求職者がその求人を気になっても、営業担当者が

「そこは離職率が高いんです」

と正直に言えばいいですし。

けど、よく考えてみてください。

 

そんなことしてたら離職率の高い法人には人が集まりませんよね?

 

離職率の高い法人ほど、どんどん採用しなければいけません。

人材紹介会社としては稼げるということです。

なんとか紹介したいと思うでしょうし、紹介した法人からも感謝されて次につながるでしょう。

だから、そういったときは求職者に「離職率が非常に高い」という紹介ではなく、

(ベテランがあまり働かなくて)とても忙しいところだけど良い経験になる」

などと言い方を変えて紹介しています。

離職率が高い理由が人間関係にあるにも関わらず…

 

なぜ、そんなことを私が知っているのか。

面接のときにそういった話を聞くからです。

紹介会社経由で面接を受けにくる人の中には、数ヶ月で辞めた前職も違う人材紹介会社に紹介してもらったという人もいます。

その前職が人事担当者の間でも離職率が非常に高いと有名な法人ということは多々あります。

数ヶ月で辞めていても私たちはそのことを知っているので、特に気になるところがなければ採用しますが、

そういった情報が私たちより入ってきやすい人材紹介会社が紹介しているわけです。

だから求職者のみなさんにはここで再度お伝えします。

 

「人材紹介会社の情報を鵜呑みにしてはいけない」

 

ちなみに求人側である人事担当者にも、採用に影響しそうな事情のある求職者については言い方を濁して紹介してきます。

なので、私はどういった求職者なのかという営業担当のコメントは一切信用していません。

「明るく話のできる方で即戦力として期待できる人材です」

などと言われると

「他に何かなかったのか?」

と私は思います。

 

「質」という点で、もう1つ。

求職者の条件に合った求人情報を提供するという意味で「質」ということもできます。

人材紹介会社は紹介手数料(想定年収の20~30%程度)が収入源と書きました。

実はこのパーセンテージ、

 

法人によって異なります。

 

なぜか。

基本的には人材紹介会社から初めて連絡がきたとき、紹介手数料率は30~35%と言われます。

私たちがそれでは高いと交渉を行います。

交渉次第で、求人を行う法人によって紹介手数料率が変わってきます。

 

それがどのように影響してくるのか。

みなさんも人材紹介会社の営業の立場になって考えてみればすぐにわかります。

紹介手数料率が高い=営業実績が良くなる求人に優先して紹介

したくなります。

(実際に人材紹介会社からもそう言われたことがあります…)

もちろん紹介手数料の高い求人に固執するあまり転職先を斡旋できなければ1円にもならないので絶対ではありません。

しかし、迷っているようであれば営業実績がよくなる求人をオススメしたくなるのではないでしょうか。

 

営業担当者によって違いはあると思いますが、紹介手数料率を本当にまったく度外視して紹介する営業はいないでしょう。

 

そういった意味でも「条件に合った求人情報を提供する質」が良いと言えるのか。疑問に思います。

 

<交渉力>

これも各人材紹介会社が売りにしているものです。

勤務条件、待遇、入職日、給与など求職者に代わって交渉します!

ということなのでしょうが、場合によっては人材紹介を利用することによって状況が悪くなることがあります。

 

人事担当者としては、高額な紹介手数料を支払うのであればできるだけ求人条件どおりに勤務できる方を探したいと考えるからです。(切羽詰まっていれば採用すると思いますが…)

むしろ直接ご連絡やご応募いただいたほうが条件の相談には柔軟に応じます。

 

例えば、

求人が「非常勤・土日祝勤務あり・午前勤務」という条件で、「土日祝休み・午前のみ勤務希望」という求職者を紹介された場合、紹介手数料を払ってまで採用しようとは思いませんが、直接ご応募いただいた方であれば応相談とします。

何が言いたいかというと、結果的に人材紹介会社を通した方が諸条件は厳しくなりやすいということです。

 

入職日でいえば、転職時期が3ヶ月、6ヶ月、1年先の人どうですか?とよく紹介会社から問い合わせを受けます。

年中人が足りず、求人を行っている法人であれば、何ヶ月先でもいいから採用を決めておきたいと受け入れるかもしれませんが、そうでなければ6ヶ月後も求人を行う予定があったとしても紹介手数料払って採用を決めておきたいとは思いません。

 

直接の応募であれば、6ヶ月後も求人を行うであろう状況であればもちろん採用しますし、求人の予定がなくても突発的な募集を行う可能性がゼロではないので、採用する方向で検討することがあります。

私の本音を言うと、

突発的にやめて転職を考えている人より、

予定立てて、6ヶ月も先だけど3月末に退職して4月から転職したい

という人の方が

私の法人でもそう考えてくれるだろうなと思うので、

(直接応募であれば)「積極的に採用を検討していきましょう」となります。

ただし状況にもよるので、もっと早く採用したいとか、そもそも人員オーバーといった理由で採用ができないことはあります。

 

給与については求職者の方が人材紹介会社に要望を伝えることもあると思います。

実際、それに合わせて多少融通する法人もあるでしょう。

ただし、それは規模が小さく職員数の少ない施設か、規模は大きいが一人部署の採用の場合くらいではないでしょうか。

 

なぜ、私がそう思うのかというと

例えば、病棟が複数、100人くらい看護師がいたとします。

このくらいの規模の法人であれば賃金体系というものがあります。

そんな中で「この求職者がいくら希望しているから融通しよう」ということをしていたら、職員間に不公平が生まれ、賃金体系の意味がなくなってしまいます。

みなさんも給与が都合に応じて決められるような不公平な法人で働きたいと思いますか?

一人しかいないような部署であれば、給与体系の範囲内で手当をつけて希望年収を合わせることはあるでしょうし、職員数の少ない法人も融通できるかもしれませんが、それもあくまで他の似たような職員と不公平にならない範囲で合わせるだけです。

たまにハローワークの求人でも、前職の源泉徴収票提出いただいた場合、考慮しますという法人があるくらいなので、人材紹介会社の交渉力によってうまくいくということはないと思います。

 

<地域担当制で希望エリアに詳しい>

うーん…そもそも県によっては人材紹介会社の支店がなく、東京や大阪から電話での営業スタイルです。

年に1回程度挨拶に来られるところもありますが、まったく来ないところもあります。挨拶に来られたところで人事担当者や役職者と顔を合わせることはできますが、施設内のこと、地域性、実際の交通事情など…

東京や大阪からの電話営業スタイルは否定しませんが、希望エリアに詳しいと言えるのでしょうか。

 

<業界知識が豊富>

人材紹介業に限ったことではありませんが、営業は比較的離職率の高い職種です。なかなか大変なお仕事ですからね。

人材紹介会社の会社自体は業界に関する情報が蓄積されていますが、営業担当者で本当に知識豊富な人は一握りだと感じます。

営業担当者間の情報共有も多少はあると思いますが、同じ人材紹介会社の違う営業担当者から同じことを何回も聞かれることも多いです。

<業界知識が豊富(になるよう営業を育てます)>なら納得できます。

人材紹介会社を利用するメリット・デメリット

これまで、

人材紹介会社は利用したくない!

と言ってきました。

とはいえ私の法人でも人材紹介会社を利用しています。

今回は、私が思う求人側と求職者側それぞれの利用するメリット・デメリットをあげていこうと思います。

 

まず求職者にとって

<メリット>

・サイトに登録するだけで簡単に求人情報を教えてもらえる。

・応募書類の書き方や面接のアドバイスをもらえる。

<デメリット>

・営業のメールや電話がしつこい。

・人材紹介を敬遠している求人には応募できない。

・(少なくとも私の法人では)採用のハードルがあがる。

 

最大のメリットは…

「転職したいな」

と考えたときに気軽に情報が手に入ることでしょう。

写真やコメントが載っていたり、

たくさんの求人を見ることができるので

相場観や雰囲気がわかります。

履歴書や職務経歴書の書き方がわからなかったり、志望動機の書き方がわからないといったときに具体的なアドバイスをもらえるのも助かると思います。

(ただし、大抵の人材紹介会社は志望理由に経営理念などを絡めて同じような内容を書かせるので、アドバイス通りに書いた志望理由だと気付きます。)

 

デメリットについて…

メールや電話がしつこいというのは、

「二度と連絡してこないでください」

といえば終わる気もします。少し粘られるでしょうが(笑)

 

2つめの人材紹介を敬遠している法人は少なからずあります。

基本は頼らないように採用活動を行うところもあれば、

診療所など規模の小さなところであればそもそも頼まなかったり

私の法人でもしているように、

人材紹介経由であればハードルを上げて面接を行うところもあります。

 

たまに病院のホームページで

「当院ホームページからご応募、入職された方に支援金を支給します。」

とうたって募集をしている法人がありますが、

これは人材紹介会社に手数料払うぐらいなら求職者に支援をしたいし、

紹介手数料払うより費用も安くすむため行っています。

(私の法人も行っていますが、他の法人さんにオススメする方法ではありません。。)

 

次に求人側について

<メリット>

・人材を早く採用することができる。

・募集する手間を抑えることができる。

<デメリット>

・人材紹介経由での採用は離職率が高い傾向にある。

・費用が高い。

 

こちらの最大のメリットは、

私たちが出している直接求人だけでは目に届かない求職者にアプローチができて、早く採用ができるということでしょう。

人材紹介会社に

「この事業所のこの職種を募集しています。」

と伝えるだけで後は探してもらえるので手間もかかりません。

 

デメリットとしては、

アンケート調査*1にあるように、

人材紹介経由での離職率は高い傾向にあることです。

私の法人でもそのような傾向にあります。

 

自らホームページをみて当院に応募していただいた方と、

間に営業(人材紹介会社)が入って応募していただいた方では

当院で働きたいという意欲も違うので当然といえば当然かもしれませんが…

間に営利企業である人材紹介会社が入ることによる大きなデメリットのように感じます。

 

このアンケート調査の最後には人事担当者の方による率直な意見や実態が書かれています。みなさん感じていることは同じのようですね。

 

今回、私が思うメリット・デメリットを書いてきましたが、

実は人材紹介会社がうたい文句としているメリットは他にもあります。

そのうたい文句を紹介しながら、実際はどうなのか人事担当者として感じていることを書きたいと思います。

*1:2020年「病院の人材紹介手数料」に関するアンケート調査(全日本病院協会日本医療法人協会福祉医療機構

人材紹介会社とは

そもそも人材紹介会社とはどういった会社なのでしょうか。

 

簡単に求職者が人材紹介を利用する流れを書くと

求職者がサイトに登録をする

人材紹介の営業担当から連絡がきて、

条件等についてヒアリング

求人の紹介をする

営業担当が求人企業と面接の調整をする

採用が決定したら求人企業と求職者が直接連絡を取り合う

です。

 

求人を行っている私たちには、事前に

「求人しているか」

「こういった求職者がいるけど紹介していいか」

と聞かれることもあれば、

ハローワークなどから情報をひろって勝手に紹介されていることもあります。

 

求職者の方が人材紹介会社を利用しても一切費用はかかりません。

職業安定法で原則、求職者からお金をとることを禁止しているからです。

それでは人材紹介会社の収入源はというと、

求人企業から紹介手数料を受け取っています。

採用が決定して、求職者が初めて勤務した日に求人企業の費用発生が確定します。

 

前回の記事でバカにならない費用がかかると言いましたが、どのくらいの費用が発生すると思いますか?

 

地域や職種によって違いますが、

基本的に想定年収の20〜30%

金額に直すと、

看護師や理学療法士、介護職などで

100万円前後

薬剤師であれば

150万円以上

 

一人の採用でこのくらいの金額がかかります。

出来れば人材紹介を利用したくない気持ちもわかっていただけると思います。

 

ちなみに

私の法人でも年間数千万円

おそらくですが、大きな病院グループなどではその数倍紹介手数料を支払っています。

それだけのお金があればどれだけ職員の処遇改善に当てれるか…

という愚痴はまたいつか書くとします。

 

じゃあ人材紹介会社を利用しなければいいのでは?

と思った人…

はっきり言います。

利用したくありません!

でも、利用しないと人が集まらないんです!

 

医療福祉業界の特殊な事情も関係していると思います。

病院や施設などは施設基準というものがあります。

ベッド数や利用者数に対して

看護師は〇人いないといけない

介護職は〇人いないといけない

などと必要な人数が定められていて

この人数を下回ると収入が下がったり、

返還金が発生したり、

経営に大きな影響を及ぼします。

そのため、人事担当者は施設基準を満たす人数を確保する必要があります。

もちろんどこの法人も施設基準上の人数では業務が回らないということもあって、余裕のある人数を採用してはいます。

それでも

急な退職や休職があったり、

産休育休を取得する人が多かったり、

急いで採用しないといけないことは多々あります。

 

そういったときに、自院のホームページやハローワーク、求人サイトだけでは人が集まりません。

みなさんもご存じのように求人情報を掲載しているサイトは数多くあります。

こんなにあるってことは儲かるのか!

私もやろうかな!!

と思ったくらい(笑)

大手だけでも十数社、

聞いたこともないような会社も合わせると何百社とあるであろう人材紹介会社。

それらの会社が自社に登録してもらうために、多額の費用をかけて求人広告を掲載しています。

たとえば、人材紹介会社は自社サイトだけでなく、

indeed、求人ボックス、スタンバイ

といった求人検索エンジンに有料で掲載を行い、自社サイトへの誘導を行いながら集客をはかっています。

人材紹介会社が各社多額の費用をかけて求職者を集めようとしているところに、私たち一法人が張り合っても勝てるわけがありません。

 

そんなこんなで人材紹介会社を利用しないと人が集まらない現実をつきつけられ、

人事担当者としても上手に人材紹介会社と付き合っていかなければいけません。

次回は、求人者・求職者双方からみた人材紹介会社のメリット・デメリットを書きたいと思います。